RFPが今すぐ書ける!例文とテンプレートで学ぶRFP作成ガイド
WEBリニューアルプロジェクトの成否を大きく左右するのが、効果的なリクエスト・フォー・プロポーザル(RFP)の作成です。新米WEB担当者にとって、適切なRFPは、理想的なウェブサイトを実現するための最初のステップとなります。このガイドでは、RFPの基本から、具体的な作成手順、成功のためのコツまでを解説し、今すぐRFPが書ける、ダウンロードして使えるRFPのテンプレートも用意しています。
目次
1. RFPの基本概念
RFP(リクエスト・フォー・プロポーザル)とは、企業が外部のベンダーやサービスプロバイダーから具体的な提案を求める公式文書です。この文書には、プロジェクトの目的、スコープ、要件、期待される納品物が詳細に記されています。RFPの目的は、プロジェクトの要求を明確にし、競争入札を通じて最適なサービスプロバイダーを選定することです。効果的なRFPは、プロジェクトの成功に直結し、企業が期待する成果を達成するための道筋を築きます。
2. RFPの目的を定義する
RFPを作成する際の最初のステップは、プロジェクトの目的を明確に定義することです。この目的は、全体のプロジェクト方向性を指し示し、提案を求めるすべてのベンダーに対して明確な期待を設定します。RFPにおける目的の定義は、単にウェブサイトをリニューアルすることだけではなく、そのリニューアルがどのように企業の全体戦略に貢献するかを詳述することが重要です。
例えば、ウェブサイトのユーザーエクスペリエンスを向上させることが目的であれば、その目的を達成するために何が必要かを具体的に記載します。これには、改善されるべき具体的なユーザーインタラクションのポイントや、期待されるユーザービヘイビアの変化などが含まれます。また、目的がリード生成の増加であれば、現在のコンバージョン率と目標とするコンバージョン率を定義し、それを達成するための戦略的アプローチを概説します。
このプロセスを通じて、RFPを受け取るベンダーは、依頼企業が何を重視しているのか、どのような成果を望んでいるのかを正確に理解できるため、より適切で具体的な提案を行うことが可能となります。明確な目的の定義は、プロジェクトの方向性を保ち、後の評価段階で提案内容が目的に沿っているかを判断する基準ともなります。
3. 記載すべきRFPの要素
効果的なRFPは、プロジェクトの全体像を詳細に描き、提案者が正確に理解しやすいように構成されるべきです。以下は、RFPに含めるべき基本的な要素です。
プロジェクト概要 | プロジェクト概要では、ウェブサイトリニューアルの背景、目的、および具体的な目標を説明します。これには、現在のウェブサイトの問題点や、改善を望む具体的な領域、プロジェクトを通じて達成したいビジネスの成果などが含まれます。 |
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要求事項 | 具体的なプロジェクト要求事項をリストアップし、それぞれの要求に対する詳細な説明を提供します。これには、デザインの要望、機能要件、コンテンツ要件、技術的要件などが含まれることが一般的です。また、将来的な拡張性や互換性の要件についても考慮する必要があります。 |
予算とスケジュール | プロジェクトの予算枠を明確にし、期待するプロジェクトのタイムラインを提供します。予算の範囲内で実現可能な目標とスケジュールを設定することが、双方の認識のズレを防ぎます。 |
提出方法 | 提案書の提出方法、締切日、連絡先情報を詳細に記述します。また、提案書のフォーマットや求める内容の概要も指定し、一貫性と評価の容易さを保証します。 |
評価基準 | 提案を評価するための基準やプロセスを明確にします。これには、各提案が評価される主要な基準や、選定プロセスの透明性を確保するための手順が含まれます。 |
これらの要素を包括的に記述することで、RFPはプロジェクトの全体像を明確に伝え、提案者が適切なソリューションを提供するための基盤を築くことができます。
4. RFPのテンプレートと例文
RFPを一から作成するのは非常に大変です。そこで、この章では、RFP作成をシンプルかつ効果的に進めるための実用的なテンプレート(ひな形)と具体的な例文を提供します。初めてRFPを手がける方でも安心して取り組めるように、ステップバイステップでどのように書けば良いかを詳細に解説していきます。
RFPテンプレート | PowerPoint版ダウンロード | Word版ダウンロード |
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テンプレートの内容
- RFPのタイトル
- 配布日
- 会社名
- プロジェクトの背景
- 目的
- 目標
- 具体的な要求事項
- 必要な機能とシステム要件
- 提供サービスや成果物
- 利用可能な予算
- プロジェクトのタイムライン
- 支払い条件
- 提案の提出方法
- 応答期限
- 連絡先情報
- 提案評価の基準
- 選定プロセス
- 選定タイムライン
RFPに使える例文(各項目別)
ダウンロードしたテンプレート内で使える各項目の例文を示します。ここからコピペするだけでも最低限のRFPをさくせいすることができます。
① プロジェクト概要
プロジェクト概要では、ウェブサイトリニューアルの背景、目的、および具体的な目標を説明します。これには、現在のウェブサイトの問題点や、改善を望む具体的な領域、プロジェクトを通じて達成したいビジネスの成果などが含まれます。
特に現状のウェブサイトの問題点は、コンバージョン率、問い合わせ数等具体的なデータを補足で挙げると理解を得やすく、目標をイメージしやすくなります。
- 当社の現在のウェブサイトは、当社の目指す「〇〇〇」という最新のユーザー体験基準に達しておらず、競合と比べて見劣りがしていると認識している。このリニューアルを通じて、ユーザーインタフェースを全面的に見直し、顧客のエンゲージメントを高めたい。
- 現在のウェブサイトは、200X年の小規模改修でスマートフォン用への表示に一部対応したが、8割以上のページはスマートフォンでの表示に対応していない。増大するモバイルデバイスによる閲覧に適応していくため、ブランドイメージと顧客エンゲージメントの向上を目的として、ウェブサイトの全ページを対象としたリニューアルを計画しています。
- 当社のウェブサイトは200X年のリニューアル以来、各事業部で別々のベンダーによって運用、小規模な再構築、ブランドサイトの新設が行われたため、企業ブランド全体として不統一なUI/UXとなっており、効果的なユーザー体験を提供できていません。今回のリニューアルでベンダーを1社に絞りサイト全体として企業ブランドに寄与するウェブサイトへとリニューアルします。
- このウェブリニューアルの主な目的は、ブランドイメージを強化し、訪問者のサイト滞在時間を延長することで、最終的には案件問い合わせへのコンバージョン率を向上させることにあります。
- ウェブサイトをブランドとして統一したユーザー体験を提供することで、訪問者のエンゲージメントとサイト経由のリード生成を増加させること。
- 新しいウェブデザインと機能を導入し、ユーザーインタラクションを促進することで、ウェブサイト内にあるECのコンバージョン率UPと全体的なブランド認知向上を目的とします。
- リニューアル後の初年度で、サイト訪問者数を前年比20%増加させ、リード獲得数を20%増やす。
- リニューアル後のウェブサイトで、訪問者の平均滞在時間を40%延長し、リード獲得率を30%向上させることを目指します。
- リニューアルされたウェブサイトで、ユーザーのセッション時間を30%増加させ、オンライン売上を20%向上させること。
② 要求事項
具体的なプロジェクト要求事項をリストアップし、それぞれの要求に対する詳細な説明を提供します。これには、デザインの要望、機能要件、コンテンツ要件、技術的要件などが含まれることが一般的です。また、将来的な拡張性や互換性の要件についても考慮する必要があります。
- このプロジェクトでは、ウェブサイト全体のデザインリニューアル、コーディング、CMSへの組み込み、必要な機能の追加、既存コンテンツの再編成を行います。
- 全ページのレイアウトを刷新し、ユーザーインターフェースを最適化。また、ユーザーフィードバックに基づいて必要な機能改善を行います。
- サイト全体のデザイン更新、コンテンツ管理システムの再構築、コンテンツのブランド視点での棚卸し、及び必要な技術統合を行います。
- 新しいウェブサイトには、顧客が直感的にナビゲーションできるUI、モバイル対応のレスポンシブデザイン、顧客の問い合わせを即座に捕捉するためのインタラクティブなコンタクトフォームを含める必要があります。
- 全ページでのレスポンシブデザインの実装、ユーザー行動を追跡するための高度な分析ツールの統合、及びマルチランゲージサポートの追加。
- ユーザーフレンドリーなナビゲーション、モバイル最適化、アクセシビリティ標準への準拠等の条件を満たした上で、当社内部で更新作業ができる標準的なCMSの導入と教育。
- ウェブサイトのフルリニューアル
デザイン、構造、コンテンツの全面的な見直しと更新。 - レスポンシブデザインの実装
スマートフォン、タブレット、デスクトップで適切に表示されるデザイン。 - コンテンツ管理システム(CMS)の導入またはアップグレード
編集や更新が容易なユーザーフレンドリーなCMSの設置。 - SEO対策の強化
検索エンジン最適化に基づいたコンテンツとメタデータの最適化。 - アクセシビリティ対策の実施
すべてのユーザーがアクセスしやすいようにガイドラインに基づいた設計。 - マルチリンガル対応
複数言語でのウェブサイト提供。 - データ保護とセキュリティの強化
GDPRやその他のプライバシー規制への対応。 - ユーザーエンゲージメント機能の追加
インタラクティブな要素、ソーシャルメディア統合、フォームやアンケート。 - パフォーマンスとスケーラビリティの向上
高速ローディング、効率的なコード、将来の訪問者増加に対応。
③ 予算とスケジュール
プロジェクトの予算枠を明確にし、期待するプロジェクトのタイムラインを提供します。予算の範囲内で実現可能な目標とスケジュールを設定することが、双方の認識のズレを防ぎます。
- プロジェクトの総予算は〇〇〇万円で、これにはデザイン、開発、テスト、初期コンテンツ作成が含まれます。
- プロジェクトの総予算は最大〇〇〇万円とし、これには初期のデザインコンセプト作成から、完全なサイトのテスト、本番環境移行までの全工程が含まれます。
- プロジェクト全体の予算は〇〇〇万円を見積もっており、全工程の設計、開発、テスト、および導入が含まれます。
- プロジェクトの開始から完成までの期間は6ヶ月を予定しており、各フェーズごとのデッドラインは詳細なスケジュールで定められます。
- プロジェクト開始から完了まで8ヶ月を予定しており、2ヵ月ごとに詳細な進捗報告を行ってください。
- 支払いは、プロジェクトが定められたマイルストーンを達成し、当社による検証と承認が完了した後に行われます。支払いは請求書受領後45日以内です。また、予想外の追加作業が発生した場合、事前に当社と合意したうえで追加費用を請求できます。
- プロジェクトの進行に応じて、段階的に支払いを行います。契約時に20%、プロジェクトの中間地点で40%、最終納品時に40%を支払います。
- 支払い条件は当社の規定に従って行われます。分割して支払いを希望する場合には事前にご相談ください。
④ 提出方法
提案書の提出方法、締切日、連絡先情報を詳細に記述します。また、提案書のフォーマットや求める場合は内容の概要も指定します。
- 提案はPDF形式で提出してください。現状認識、リニューアルの考え方、目指すべきWEBサイト像、それを可能にする構成・ソリューション、体制・お見積りを本編とし、付帯資料として過去実績、提案したソリューションの詳細説明を提出してください。
- 提案書は電子メールにてPDF形式で送付してください。提案書には、要求事項に記載の項目の他、過去の成功事例、提案されるソリューションの詳細説明を含めてください。
- 指定した日程でプレゼンテーションをお願いします。提案書はプレゼンテーション日の前日までにPDFで送付してください。
- プレゼンテーションは以下の日程でお願いします。
202X年12月11日(木) ①10:00~ ②13:00~ ③15:00~ 各1.5時間(質疑応答含)
事前の提案書の提出は renewal@company.co.jp へ提案日の前日までに送付してください。 - 提案書の提出は、202X年12月11日18:00までに、renewal@company.co.jp へメールで送信してください。
広報部インターネットグループ TEL03-2222-1111
本提案に関しての質問受付期間を、本日より1週間(〇月〇日まで)設けます。提案にあたって質問がある場合は、指定した連絡先へお送りください。質問期間終了後、すべての質問への回答を提案社全社に送ります。
山本(yamamoto@company.co.jp)
下柳(shimoyanagi@company.co.jp)
⑤ 評価基準
提案を評価するための基準やプロセスを明確にします。これには、各提案が評価される主要な基準や、選定プロセスの透明性を確保するための手順が含まれます。
- 提案は、要求事項への回答に加え、それらの革新性、技術的実現性、費用対効果、サポート体制などの観点で評価されます。
- 提案は独創性、実施計画の明確さ、予算内での実現可能性、提供者の過去の実績と専門知識に基づいて評価されます。必要に応じて、追加のプレゼンテーションを依頼する場合があります。
5. RFPの配布と評価プロセス: 提案から選定までの段取り
WEBリニューアルのRFPプロセスは、提案依頼書(RFP)の配布から始まります。RFPは電子的に送信されることが多いですが、大きなプロジェクトでは依頼社がオリエンテーションを行い、直接関係者に説明することもあります。この初期段階で、提案者はプロジェクトの全体像を把握し、質問や疑問を解消する機会を得ます。
提案の受け取りと質問応答期間
RFPが配布された後、提案者からの質問を受け付ける期間が設けられます。この間、依頼社は提案者からの質問に対して明確な回答を提供し、必要に応じて追加情報を配布します。質問応答期間を設けることで、提案者はより具体的かつ適切な提案を作成するための情報を確実に得ることができます。
提案書の評価とプレゼンテーション
質問応答期間の終了後、提案者は最終的な提案書を提出します。提出された提案書は依頼社によって詳細に評価され、最終候補となる数社が選ばれることが一般的です。選ばれた提案者はプレゼンテーションの機会を得ることが多く、ここでプロジェクトチームや意思決定者に直接提案内容を説明します。
パートナーの選定
プレゼンテーション後、依頼社は提案内容、プロジェクトへの適合性、提案者の実績や技術力、価格など多角的な視点から最終的なパートナーを選定します。選定プロセスには、評価基準に基づく厳密な審査が含まれ、適切なパートナーと契約を結ぶことでプロジェクトは次の段階へと進みます。
このようにRFPの配布からパートナー選定に至るまでのプロセスは、WEBリニューアルの成功に直結する重要なステップです。効果的に進行させるためには、開かれたコミュニケーションと透明性が保たれた評価プロセスが不可欠です。
まとめ
WEBリニューアルプロジェクトを成功に導くためには、RFPの作成が鍵となります。この文書は、プロジェクトの目的、要求事項、予算、スケジュールを明確にし、適切なパートナー選定の土台を築きます。効果的なRFPはただの文書ではなく、プロジェクトのビジョンと方向性を示す重要なツールです。
RFPのプロセスを通じて、プロジェクトの要件が明確になり、予期せぬ課題への対処やプロジェクトの調整が容易になります。また、透明性と明確なコミュニケーションを保つことで、全ての関係者が一致団結して目標に向かうことが可能です。
最終的に、効果的なRFPを通じて選ばれたパートナーとの協力は、WEBリニューアルプロジェクトを成功へと導く強固な基盤となります。このガイドが、あなたのプロジェクトに役立つ情報を提供し、確実な計画立案と実行の助けとなれば幸いです。次のステップに進む準備が整いましたら、学んだポイントを活用して、自信を持ってRFP作成に挑んでください。
RFPの作成からコンペの実施、その後の運用までサポートいたします。
RFPの作成はWEBリニューアルの第一歩ですが、WEBの知見に自信がないと難しく感じることもあります。テンプレートや例文をもとにRFPを作成しても、制作会社への要件伝達や細部の詰め方に悩む方も多いはず。クルーソーでは、制作会社に伝わる的確なRFPの作成から、コンペの実施まで御社のサポートが可能です。ぜひ、効果的なWEBリニューアルのためにご相談ください。
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